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公開研究会のお知らせ

第2回オンライン講演会のお知らせ

 特定課題研究のテーマである研究方法論の議論を発展させることを目的として、オンライン講演会を実施します。第2回は知念渉氏(神田外語大学)による「研究者の視点の変化と調査法:〈ヤンチャな子ら〉への調査を振り返る」です。
 さまざまな学問領域の幅広い見解に触れるよい機会です。どうぞふるってご参加ください。

第2回オンライン講演会

タイトル:研究者の視点の変化と調査法:〈ヤンチャな子ら〉への調査を振り返る

日時 4月9日(土)14:00-16:00
講師 知念渉氏(神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部講師)
専門:教育社会学
*知念氏の主要な書籍・論文
  • 『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー:ヤンキーの生活世界を描き出す』(単著、青弓社、 2018年)。
  • 『教育格差の診断書:データからわかる実態と処方箋』(共著、岩波書店、2022年)
講演概要 生活史の聞き取りではその人の生きてきた経歴に、参与観察では目の前の人々のやりとりに目が向いてしまうように、調査方法は具体的に研究者の視点を規定する。当日は、報告者自身の調査経験に基づいて、調査方法がどのように研究者の視点及び研究成果を規定しているのかを反省的に分析する。

異文化間教育学会
2022年度第2回オンライン講演会報告

研究委員会

2022年度特定課題研究「異文化間教育における研究方法論を考える:『移動』をめぐる経験を捉えるために」の第2回オンライン講演会を2022年4月9日(日)14時〜16時に実施した。当日は65名ほど(申し込みは79名:会員45名、非会員34名)の参加があった。
第2回講演会では、知念渉氏(神田外語大学)をお招きし、特定課題研究のテーマである研究方法論の議論をさらに発展させることを目的にご講演いただいた。講演のタイトルと概要は以下の通りである。

【講演タイトル】「研究者の視点の変化と調査法:〈ヤンチャな子ら〉への調査を振り返る」

【講演概要】生活史の聞き取りではその人の生きてきた経歴に、参与観察では目の前の人々のやりとりに目が向いてしまうように、調査方法は具体的に研究者の視点を規定する。当日は、報告者自身の調査経験に基づいて、調査方法がどのように研究者の視点及び研究成果を規定しているのかを反省的に分析する。

 前半は、1時間ほど、ご著書の『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー:ヤンキーの生活世界を描き出す』(青弓社、2018年)を題材としてご講演いただいた。まず、研究者の視点の変化をどう捉えるかについて、社会学理論を枠組みにご説明いただいた。それを踏まえ、ご自身が数年にわたる調査のなかで、どのように研究者の視点が変化したのか、そしてそれと分析方法がどのように関連していたのかを反省的に振り返っていただいた。最後に、認識論に関する議論に立ち返りながら、解釈主義の問い直しと批判的実在論の可能性について述べられた。
 その後、45分ほど参加者とともに質疑応答・ディスカッションを行った。質問・コメントはスプレッドシートを用い、参加者からの質問に対して知念氏に1つずつ詳細にお答えいただいた。また、事前に参加者より提出された質問についても丁寧にご回答いただいた。 事後アンケートには大変多くの参加者から感想やコメントをいただいた。興奮冷めやらぬ様子が伝わる、熱のこもった内容が大半を占めていた。参加者それぞれがインスパイアされ、自身の調査のプロセスに向き合い直すきっかけとなったことがうかがえた。また、大学院生にとっては、調査を通じて自身の認識論的立場に向き合っていく知念氏の経験が、自身の研究を進めていく上で大きな励ましとなったようだ。
 さらに、本学会や本特定課題研究との結びつきという点からも、非常に有益な講演となったことがうかがえた。具体的には、「オンライン講演会を経て、特定課題研究のテーマが多層的に深まっていくことを感じました」や「研究方法ではなくて、方法論についてやっと学会として議論できる段階になったことに感無量です」などの意見が寄せられた。
なお、講演内容については、2022年4月16日〜2022年4月30日までの期間、学会のYouTubeにて限定公開を実施した。
 本講演会は、いよいよ大詰めを迎える本特定課題研究に多くの学びや気づきをもたらす大変有意義なものとなった。一方で、大会までに乗り越えなければならない課題をいくつか確認することができた。そのひとつが、講演の最後に知念氏よりいただいた「徹底した解釈主義に基づく異文化間教育学的な研究は可能なのか?」という問いかけである。残念ながら、講演会当日はこれについて十分に議論することができなかった。解釈主義を強調する研究が目立つようになって久しい本学会にとって、この問いかけは真摯に向き合うべき重要な課題である。引き続き、議論していきたい。

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