大会準備実行委員長
新潟大学 足立 祐子
異文化間教育学会第39回大会(プレセミナー6月8日、大会6月9日~10日)を新潟大学で開催した。
大会準備委員会では、色々な点でこれまでとは違った大会運営を目指した。プログラム内容自体は、プレセミナーに始まり、ポスター発表、個人発表、ケース/パネル、共同発表、特定課題研究、公開シンポジウムと、形の上ではこれまでの大会運営を踏襲しつつ、内容的に、懇親会を情報交換会としたり、特定課題研究では「政策的視点からの異文化間教育研究――課題と展望」として、これまで重要性を指摘されながらも実践されてこなかった領域に踏み込んだり、被災者と非被災者という従来にはなかった「異文化」を設定した公開シンポジウム「次の世代を地域で育てる―異文化間教育の役割―」を開催したりと、さまざまな試みを実施した大会となった。
先回大会以上に関東圏以外からのアクセスが良くない新潟での開催にもかかわらず、167名もの方に参加いただいた。なかでも、当日申し込み参加者が30名もあったことには少なからず驚いた。
準備委員会として力を入れた点は以下の2点である。まず、懇親会を情報交換会とし、参加費を下げることで、学生会員をはじめ多くの方の参加が容易になった。会の名称がどうであれ、知り合いとの旧交を温めることより、より多くの方々にこの機会を利用して新しい人脈を形成し、今後の研究につなげてもらえるように、人が集まれる形を設定した。結果として、85名(事前申し込み75名、当日参加者10名)もの方々に参加いただくことが出来た。そしてもう1点は、初日の午前中にポスター発表を行い、特定課題研究を午後に行うという、従来にはないプログラム編成にしたことである。結果的に特定課題研究に足を運んでくださる人の数を増やすことが出来、特定課題研究の意義そのものに答えられるようになった。
特定課題研究では、実際の政策提言につながる具体的事例を挙げて検討され、次年度以降に実際に政策提言を行い、社会を動かすという目的のための研究の端緒となった点で、有意義なものであった。
公開シンポジウムでは、前述のとおり従来には設定されることのなかった被災者と非被災者という枠組みでの具体的事例紹介、ならびに討論がなされ、近年地震や大雨による被害が多発している新潟ならではの話題提供が出来たのではないかと思う。
最後に、本大会の準備、ならびに開催にあたって、多大なご協力をいただきました新潟大学、国際文献社、異文化間教育学会事務局の皆様に心より御礼申し上げます。