第34回異文化間教育学会研修会のお知らせ

テーマ「朝鮮学校に学ぶ:愛知朝鮮中高級学校における民族教育のあゆみ」

 異文化間教育学会では、第11回(2012年)研修会で韓国学校を、第14回(2014年)及び第23回(2018年)研修会で朝鮮学校を訪問し、日本における民族教育の歴史や現状を学ぶ機会を設けてきました。今回は愛知朝鮮中高級学校にご協力いただき、様々な困難を乗り越えながら「ウリハッキョ(私たちの学校)」を守りつづけてきた当校のあゆみを通して、民族教育に対する理解を深めます。

 愛知朝鮮中高級学校は1948年に開校し、長らく中部地方の民族教育を担ってきました。本年(2023年)、創立75周年を迎えるとともに、念願の新校舎が完成しました。在日朝鮮人としてのアイデンティティの育成を中心に据え、新しい時代を切り開く人材の輩出を目指しています。当日は、授業及び新校舎の見学、民族教育史がご専門の金貴東校長による講話、学校食堂での昼食会を予定しています。さらに、研修後に参加者間で振り返りを行い、見学や講話で得られた学びの共有と深化を図ります。

参加上のお願い

 下記の文献及び映像を参考にし、事前に在日朝鮮人や朝鮮学校に関する基本的な知識を押さえておくことを推奨します。

[文献]

  • 朴三石(2012)『知っていますか、朝鮮学校(岩波ブックレットNo.846)』岩波書店.
  • 徐京植(2012)『在日朝鮮人ってどんなひと?』平凡社.
  • 中島智子(2013)「朝鮮学校の二つの仕組みと日本社会:〈自己完結統一システム〉と〈朝鮮学校コミュニティ〉に着目して」『〈教育と社会〉研究』第23号, 77-86.
  • 呉永鎬(2019)『朝鮮学校の教育史:脱植民地化への闘争と創造』明石書店.

[映像]

  • NHK ETV特集 「チェーサーが終わる日:在日コリアン 世代を越える葛藤」(2023年8月19日放送)

日時・場所

2024年2月13日(火)10時30分〜14時30分

※ 10時10分に名古屋鉄道(名鉄)中京競馬場前駅に集合(駅から学校まで徒歩10分)

※ 中京競馬場前駅は、名鉄名古屋駅から乗り換えなしで25分です。

活動内容

10:30〜11:30 授業及び校舎見学

11:30〜12:30 食堂にて昼食会

12:30〜13:30 金貴東校長による講話

13:30〜14:30 参加者で研修の振り返り

定員

15名(先着順) ※定員に達しましたので申し込みは終了いたします。

参加費

500円(昼食会費)

※当日、企画委員会の担当者にお支払いください。

申し込み期限と方法

申し込み期限:2023年12月25日〜2024年2月4日(定員になり次第締め切ります)

申し込み方法:Webサイト「こくち〜ずpro」(下記URL)でイベントチケットを申し込んでください。

こくち〜ずpro: https://www.kokuchpro.com/event/9505f0d7bbfaf0565e8e4f4cc1452f38/

問い合わせ先

企画委員会(芝野淳一) iesj.kikaku2023[at]gmail.com ([at]を@に変更してください)   

主催

異文化間教育学会企画委員会

工藤和宏(獨協大学)、松尾知明(法政大学)、髙松美能(東北大学)、青木香代子(茨城大学)、芝野淳一(中京大学)

報告
研修テーマ「朝鮮学校に学ぶ:愛知朝鮮中高級学校における民族教育のあゆみ」

2024年2月13日(火)10時30分〜14時30分に、愛知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)にて第34回異文化間教育学会研修会を開催した。

本学会では、第11回(2012年)研修会で韓国学校を、第14回(2014年)及び第23回(2018年)研修会で朝鮮学校を訪問し、日本における民族教育の歴史や現状を学ぶ機会を設けてきた。これを踏まえ、本研修では長らく中部地方の民族教育を担ってきた愛知朝鮮中高級学校のあゆみを通して、民族教育に対する理解を深めることを目的とした。当校は1948年に開校した、75年以上の歴史をもつ学校である。2023年に新校舎が完成し、新たな歴史をあゆみはじめている。

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当日は19名(企画委員5名含む)の会員が参加した。研修内容は以下の通りである。

校長の挨拶と参加者の自己紹介を行ったあと、当校の教員2名に引率いただき、授業及び施設見学を実施した。参加者は、美しい新校舎に触れつつ、ICTを活用した朝鮮語教育や探究学習におけるプレゼンテーションなどを興味深く見学していた。

新校舎の外観               

続いて、敷地内にある寄宿舎の食堂に移動し、昼食をいただいた。名物のビビンバと温かいスープに舌鼓を打ちながら、教員や従業員の方々との交流を楽しんだ。

昼食後、校長による講話を拝聴した。学校史を詳細な資料とともに振り返りながら、様々な困難を乗り越えながら「ウリハッキョ(私たちの学校)」を守りつづけてきた過程が示された。また、日本や世界を舞台に活躍する卒業生の紹介もあった。在日朝鮮人としてのアイデンティティ育成を中心に据え、新しい時代を切り開く人材の輩出を目指してきた当校のあゆみを学ぶことができた。

最後に、教務主任、元校長・理事長、教育会会長の3名を交え、意見交換会を行った。授業実践や進路指導の取り組みや、学校運営をめぐる方針や課題などについて、活発な議論が展開された。

校長による講話

学校関係者との意見交換

         

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コロナにより学校訪問をともなう研修会は中断されていたが、愛知朝鮮中高級学校にご尽力いただき、素晴らしい形で再開することができた。参加者からは、「授業での先生方の表情や生徒たちの笑顔、授業に取り組む姿勢、先生方の想いなどを体感したことが、色々な歴史と向き合う上で意味があることだと思った」や「世代も3〜4世と変わってきて、色々と変化がある中、『在日朝鮮人としてルーツを持つかれらの語り、学生の生き方や自然な姿』を見ることができ、非常に学びの多いものだった」など、研修会の充実ぶりがうかがえる感想が多数寄せられた。今後も、教育現場の協力を得ながら、現場に根ざした研究に寄与する研修会を企画していきたい。

ご多用中のところ、暖かく迎え入れてくださった愛知朝鮮中高級学校の生徒、教員、学校関係者のみなさまに、心より感謝を申し上げる。

教員が作成してくださったウェルカムボード 

     

研修後の集合写真

文責:企画委員 芝野淳一(中京大学)