優秀発表賞

 異文化間教育学会では、異文化間教育学の発展を期して、会員の研究発表を奨励し、研究発表の向上を図ることを目的として、「優秀発表賞」を設けています。この賞は、若手の研究者を対象とし、当該大会における「個人研究の個人発表」の中から、優秀と評価された発表に与えられるものです。

 規程にあるとおり、優秀発表賞の審査を受けるためには、発表者自身が受賞資格の条件のいずれかに該当することを申告し、審査対象となる意思を表明する必要があります。発表申し込み時に、優秀発表の審査の希望の有無を、大会HP上の「個人発表申し込み」の欄で選択してください。個人発表申し込み締切り後、必要に応じて事務局より確認のためのメールをお送りすることがございます。

 受賞資格を有する皆さん、審査への積極的なお申し出をお待ちしております。

 優秀発表賞の選考方法(選考の手続き、審査対象・審査基準)については、下記をご覧ください。

過去の受賞者

2023年度

「客観的測定テストBEVIを用いた全員留学の評価ー国際・文化体験への関心が低い学生の留学効果ー」

抄録発表資料

中村 絵里(千葉大学)

授賞理由

昨今、留学形態が多様化している状況において、超短期留学プログラムと自己変容に着眼し、客観的指標を用い適切な手順で調査・分析が行われていた。また、結果において、超短期留学を経験した、国際・文化体験への関心が低い学⽣ほど留学効果が得られた点について、本研究の新規性として高く評価された。今後は、異文化間教育学の観点から論考を深め、また本研究の基盤となった理論や先行研究との関連性をさらに明確化することが期待される。

2022年度

「中国人留学生の留学の成果と満足度とその関連要因ー困難への対処方略を中心にー」
抄録発表資料

張 慧穎(お茶の水女子大学大学院)

授賞理由

日本在住の中国人留学生の留学成果とその満足度の関連要因として困難への対処方略に着目した点や、よく練られた研究デザインが高く評価された。従来、留学成果に関する研究は質的調査や単純集計も多いが、本研究は成果の指標をとって可視化をするという量的分析を用いて、その結論から一つのモデルを提示している。主旨から結論に至るまで、必要なステップを踏み、ポイントを抑えて論じられており、研究としての完成度が高いといえる。今後、さらに研究の独創性を高めていくことで、異文化間教育研究での活躍が期待される。

2021年度

「『わたしたちのことば』に創発する居場所―留学生の逸脱的日本語によるあそびの分析から一」
抄録発表資料

井濃内歩(筑波大学大学院)

授賞理由

留学生らが「逸脱した日本語」を用いたやりとりにて形成する「居場所」について、厚い記述および詳細な談話分析から言語人類学的に明らかにした意欲的な研究である。「規範を教える」という前提になりがちな日本語教育において、学習者らによる日常的な「居場所」としての「逸脱した日本語」の使用をどのように捉えるかは多様であろうが、その捉え方をめぐる議論を躍起する論考であり、その斬新さおよび将来性が評価された。今後の研究の発展、および日本語教育・異文化間教育実践への貢献が大いに期待される。

2020年度

審査なし

2019年度

「日本での留学経験が元留学生外国人社員の職場での異文化適応に与える影響に関する一考察」
抄録発表資料

郷司寿朗(広島大学大学院)

授賞理由

論旨は明確でよくまとまっている。発表はよく準備されており、プレゼンテーションも明快であった。着眼点が新しく、今後ますます重要性を増す研究である。今後の元留学生社員へのサポートの重要性を訴える上で、貴重な研究である。手堅くまとめた良い発表である。

2018年度

該当者なし

2017年度

「低年齢で帰国した児童の第二言語能力―リテラシーの観点から―」
抄録発表資料

谷口ジョイ(静岡英和学院大学)

授賞理由

長期に亘る研究の集大成といえる内容で、論旨の整合性が高く評価された。また、研究事象の多面的要素を考慮した有益な研究結果を導き出しており、異文化間教育の研究・実践への貢献が大いに期待できる。

2016年度

「学校教育をめぐる『境界』の再考―外国人学校に通う日本人生徒の学校経験に着目して―」
抄録

金南咲季(大阪大学大学院生)

授賞理由

本研究は新たな対象に着眼し、異文化間研究のテーマに多角的に切り込もうとしている点で高く評価された。また、今後の研究の発展、及び異文化間教育研究への貢献が大きく期待される。

2015年度

「混住寮の生活では何が学ばれているのか-レジデント・アシスタントの語りを中心に-」
抄録発表資料

吉田千春(明治大学大学院)

授賞理由

留学生と日本人学生が混在して生活する混住型学生宿舎(混住寮)という、多様な文化が共存する場における留学生及び日本人学生の学びを、正統的周辺参加論に基づき、寮のレジデント・アシスタントへのインタビューデーターの分析を通して明らかにしようという挑戦的な研究である。本研究はこれまで異文化間教育研究が着目してこなかった対象に光を当てた調査研究であり、その独創性が高く評価された。今後の留学生教育・異文化間教育の実践への貢献と、研究としての発展性が期待される。

2014年度

「韓国における「結婚移住女性」のスティグマの自覚と対処方法」
抄録発表資料

具美善(一橋大学大学院言語社会研究科)

授賞理由

研究の目的・方法が明確であり、データの収集、分析も適正に行われ、発表に向けてよく準備されていた。また、着眼点が独創的で興味深く、ライフストーリーの分析を通して対象が精緻に描き出されている。

「日韓国際結婚家庭の言語選択-韓国人母の韓国語の継承を中心に-」
抄録発表資料

花井理香(関西学院大学大学院研究員)

授賞理由

調査の実施方法や結果の分析が的確に行われており、発表内容・構成からは研究を堅実に積み重ねてきたことが感じられた。学際的領域である異文化間教育学の発展への貢献が大いに期待できる。

2013年度

「日本在住の言語的マイノリティの子どもの二言語能力の関係―物語文の聴解・再生課題の分析を通してー」
抄録発表資料

櫻井千穂(大阪大学)

授賞理由

目的と方法が明確であり、データの分析が精緻に行われている。研究の発展性と、異文化間教育学の研究・実践への貢献が期待できる。

「マルチヴォーカル」の視点を取り入れた海外フィールドワークの学習環境デザイン」
抄録発表資料

岸磨貴子(明治大学)

授賞理由

異文化間教育の学習環境デザインに関する新たな提案がある。研究の着眼点、方法が独創性に富み、異文化間教育学の研究・実践への貢献が期待できる。

2012年度

「元留学生外国人社員の組織社会化に関する研究-上司の支援内容が適応・定着に与える影響について-」
抄録発表資料

島田徳子(東京大学)