特定課題研究
「異文化間教育における政策と研究者の役割」
昨年度の特定課題研究「政策的視点からの異文化間教育研究」の成果をふまえて、今年度は、異文化間教育の政策や政策過程に対して、研究者はどのような価値観、立ち位置、方法で関わることができるのか、関わるべきなのかについて、政策提言につながる具体的事例を取り上げながら検討する。
- ■日 時:
- 2019年6月8日(土)9:30~12:00
- ■場 所:
- 明治大学中野キャンパス 低層棟5階ホール
- ■発 表:
- 1.榎井 縁(大阪大学)
「移民政策なき日本社会における外国人支援――地域国際交流協会の提言としての実践」 - 大阪府豊中市で25年前に設立された「地域国際交流協会」の実践からの提言である。四半世紀に亘り地方行政との関わりの中で展開された国内では特筆すべき事例から得られる知見には得難いものがある。同時にそこからは「移民政策なき日本社会」における「外国人支援」を試行錯誤することから、さらに大きなコンテクストでの政策への示唆が提示されると共に、ナショナルなレベルでの政策の欠如がもたらす限界性も問われることとなる。
- 2.太田 浩(一橋大学)
「どうする日本の留学生受入れ――ポスト30万人計画に向けた留学生政策」 - 20年以上関わってきた国内の留学生政策を精査することから得られる知見を語る。多岐に亘る論点の中でも、特に2008年度以降の留学生30万人計画は、かつての同10万人計画と異なり、日本語学校生や大学への非正規生(研究生等)の受入によって達成されようとしている実態、そして留学生が非熟練労働者として大きな役割を果たしていることなどを取り上げ、それらをもたらした政策の立案、決定、実施、効果、そして評価について検討する必要を訴える。
- 3.金 侖貞(首都大学東京)
「研究者は多文化共生のための政策づくりにどうコミットするのか――識字教育政策の形成を手掛かりに」 - 国内における直近の「識字政策」を材料にして、研究者がどう政策の形成に関わっていったかを、韓国の事例なども参照しながら考察する。本学会が過去に取り上げた優れたテーマに海外・帰国子女教育問題があったが、日本の基礎教育保障学会が取り上げた識字教育も、研究者たちが政策を動かした数少ない事例である。本発題では、その「制度化」過程から我々が学べる事柄、またメディアなど学会外のアクターとの関わりについても考察を試みる。
- ■指定討論:
- 1.野山 広(国立国語研究所)
- 2.工藤 和宏(獨協大学)
- ■全体討議
- ※今年度は、一般公開をしております。
参加費無料、申し込み不要でどなたでもご参加いただけます。