異文化間教育学会 第46回大会
東京大学

特定課題研究
Annual Research Theme

2025年度 異文化間教育学会 特定課題研究テーマ

発達的視点から異文化間で育つ子どもの経験を考える

研究委員会

 2025年度の特定課題研究テーマは「発達的視点から異文化間で育つ子どもの経験を考える」である。本年度も発表者を公募し、多くの会員から応募をいただいた。本テーマへの貢献や研究方法・内容のバランスなどを念頭に審査を行い、登壇者を選出した。本大会にて会員の皆様と活発な議論をし、今後の更なる展開を共に検討する契機としたい。

【趣旨】

 2024年度の特定課題研究では、「乳幼児期に異文化間で育つとはどういうことか―複層的な視点でとらえる―」をテーマとして研究を進めた。今年度は引き続き、「発達的視点」を軸にしながら、異文化間で育つ子どもたちや子どもたちを支える家族や地域、環境を取り上げていく。入園、卒園と小学校への入学、中学・高校等への進学といった節目を、異文化間で育つ子どもたちはどのように経験しているのだろうか。時間軸を持つことは、子どものこれまでの経験(母国の学校、就学前施設、中学校進学前の小学校等)を踏まえて現在のその子/その人の把握・理解につながる。異文化間で育った経験を持つ人が、大人となって教育に関わったり、自ら子育てをしたりするケース等も考えられる。現在と過去の異文化間で育つ・育った経験と移動を振り返ることで、異なる文化の場がどのように交差し、成育に影響したのかなど、俯瞰的に当事者たちを取り巻く環境を考えていく必要があるのではないだろうか。
 また、子どもたちが育つ場、社会とかかわる場は、園や学校だけでなく病院、保健センター、幼児教育施設、さらに、保護者の選択によって図書館、児童館、子ども食堂、子育てひろば、教会、寺院、補習校(継承語学校・エスニックスクール)、塾(異なる教育目標に合わせた勉強・受験対策・アフタースクール)、保護者の通う日本語教室等、多様に存在する。こうした場と家庭の間を日常的に移動している子どもたちの経験を、それぞれの場にいる人たちを通して捉えることができる可能性がある。学校以外の場所だからこそ、学校教育の枠組みを越えて、長期間に子どもの育ちを捉えることが可能な場合もあるだろう。また、マイノリティとして育つ子どもたちだけでなく、マジョリティ側の子どもたちのための異文化間教育について考えていく必要もあるだろう。
 本大会では、3つの発表を起点として議論を深めていきたい。

【日時】

2025年6月21日(土)9:30~12:00

【場所】

東京大学 本郷キャンパス

【趣旨説明】

佐藤 千瀬
(聖学院大学)

【登壇者】

本間 祥子
(千葉大学)
重松 香奈
(東京外国語大学)
小松 翠
(東京科学大学)

【指定討論者】

岡村 郁子
(東京都立大学)
山田 亜紀
(玉川大学)

【企画・運営:研究委員会】

佐藤 千瀬
(聖学院大学)
内田 千春
(東洋大学)
小松 翠
(東京科学大学)
山田 亜紀
(玉川大学)
由井 一成
(早稲田大学)