「違いを生きる、語る、表現する:アートベース・リサーチによる異文化理解と共生の実践」
概要
Arts-Based Research(以下ABR)は、アートの考え方を研究文脈で用いることにより、知識構築を行うアプローチです。研究プロセスにおける問いの生成、データ収集または生成、分析、解釈、発信、いずれの段階でも応用可能な手法として注目されています。岡原正幸先生は、日本におけるABRの草分けであり、第一人者です。また、ABRにより他者のライフを追体験するとともに、新たな他者理解のあり方を生み出す研究=実践を行われています。つまり、他者や自分のライフを深めていくことで、異文化間教育学がテーマとするダイバシティやインクルージョンについて捉え直していければと思います。
本プレセミナーの目的は次の3点です。
- (1)異文化間教育×アート
- ABRの視点を取り入れた異文化間教育学の新しいアプローチを学ぶ。
- (2)『異文化間教育事典』の活用
- ABRを媒介として、本学会が出版した『事典』の各項目と教育実践を接続する。
本学会が出版した『事典』を手がかりにABRの実践を考える。 - (3)実践への活用
- ABRを体験することにより、他者への理解を深めるともに、日常生活や教育現場に活用できる知見を得る。
本学会では2022年に『異文化間教育事典』を出版しました。『事典』が異文化間教育に関わる知識の整理であったとすれば、本プレセミナーはそれらの知識を教育実践、あるいは日々の生活に活用していくための試みです。ABRを媒介として、参加者のみなさまで「異文化間教育学の知をどのように実践に活かすか」という問いを考えるとともに、異文化間教育の実践を構想したいと思います。
開催日時
2025年6月20日(金)13:00-16:00(12:30受付)
場所
東京大学本郷キャンパス
講師
岡原正幸先生(慶應義塾大学名誉教授)
- 講師紹介
- 1957年生まれ。2023年3月31日に慶應義塾大学を定年退職するまで文学部教授および大学院社会学研究科委員長、慶應義塾評議員などを歴任。専門は、感情社会学、障害学、アートベース・リサーチで、パフォーマンスアーティストとしても活動。2006-2013年には「三田の家」というコモンハウスを三田キャンパス付近で運営、2015年からはKeio ABRというラボを大学院研究室で主宰、 2021年からは博士人材育成プログラム(Keio Spring)としてアート、コミュニティデザイン、映像制作のワークショップを慶應義塾にある13の大学院研究科博士院生に提供、2022年からは「協生カフェ(三田キャンパスにLGBTQの人も安心できる居場所)」WGとしても活動。退職後はABRによるレジリエンス、エンパワーメントをゴールにする社会実装系の法人を設立。代表的な著書として『感情を生きる パフォーマティブ社会学へ』慶應義塾大学出版会 (2014年), 『アート・ライフ・社会学 エンパワーするABR』晃洋書房(2020年), 『黒板とワイン もうひとつの学び場〈三田の家〉』慶應義塾大学出版会(2010年)がある。
コーディネータ
岸磨貴子(明治大学)・川島裕子(関西大学)
参考図書
- パトリシア・リーヴィー (著), 岸磨貴子, 川島裕子, 荒川歩,三代 純平(監訳)(2024)
『アートベース・リサーチ・ハンドブック』福村出版 - パトリシア・リーヴィー (著), 岸磨貴子, 東村知子, 久保田賢一(訳)(2025)
『研究法がアートと出会うとき――アートベース・リサーチへの招待』福村出版
プログラム(3時間)
- 13:00-13:10
- 本セミナーの概要説明
- 13:10-15:30
- 岡原先生による講演およびワークショップ
- 15:30-16:00
- 『異文化間教育事典』を活用した実践ワークショップ
参加条件
会員・非会員
- 2025年2月1日まで学会員を優先して募集します。
募集人数
25名(定員になり次第、先着順にて締め切らせていただきます。)
プレセミナー参加費
- 正会員・通信会員・維持会員・非会員一般
- 3,000円
- 学生会員・非会員学生
- 2,000円
申込み方法
大会HPの参加申込 Conference Registrationよりお申込みください。
申込み問い合わせ先
異文化間教育学会第46回大会ヘルプデスク
e-mail:iesj-desk[at]conf.bunken.co.jp([at]を @ に変えて下さい)
異文化間教育学会事務局
iesj[at]meiji.ac.jp([at]を @ に変えて下さい)
企画
異文化間教育学会事務局
渋谷真樹(日本赤十字看護大学)、岸磨貴子(明治大学)、古屋憲章(山梨学院大学)、吉田千春(中央大学)